お客さんから、よく聞かれるんです。
この店は、なぜ始めようと思ったのですか?
よく聞かれることなので、ここで真実を書いておこう。
それまで本厚木の写真館で3年ほど学校系の撮影スタッフとして働いていたことがありまして、その仕事の中で、東京芸術大学の卒業アルバムを創るという作業が有りました。
今考えれば、あの芸術家集団に芸術とは言い切れない「卒業アルバム」を売りつけるといった仕事に、少々嫌気がさしていた頃、社長からファイヤーの宣告を受けた。
なぜファイヤーの宣告を受けたかというと、会社とは別で撮影を個人的に、しかも定期的に受けていたことがばれた事と、野毛で撮影していた帰りに半グレに絡まれてぶん殴り合いをしてしまい、ボロボロの顔になったわたくしは、3週の間、出社できなくなった事件も少々あっただろう。いや、ほぼほぼそれが原因だろうw
東京芸大の撮影は好きだった。
芸大生の作品を毎日見れるし、芸際の撮影もすごく楽しかった。
宣告を受けたわたくしは、芸大に行く為に本厚木から上野までの小田急線の上り電車に乗っていた。
景色は登戸駅を過ぎ、東京都との国境である多摩川をカタンコトンと渡った。
狛江高校が左手に見えたところで逆側の窓に移動して、街並みを見るのが好きだった。
そんなときに、ワタクシの目に飛び込んできた「サウナ狛江湯」というビル屋上看板。
サウナ狛江湯…なんともサビれた看板が哀愁を放ち、骨董市好きな私の身にサブイボが湧いた。
この看板が「家族湯、狛江湯」とか「天然温泉♨狛江湯」とかだったら、そんなに気にならなかっただろうけど、なんというこの簡潔でSimpleで誰にでも脳にダイレクトに足跡を残す「サウナ狛江湯」。
気になって気になって仕方が無くて、芸大の帰り道、小田急線「狛江駅」で降りた。
目の前に数件の不動産屋があり、その中から「アスカ商事」さんを選んで、冷やかしに入った。
「写真スタジオが出来るような物件は有りますか?」の質問に2秒で答えてくれたのがスタッフのKさん。
それでは物件を見に行ってみようという事になり、それが今のゴータバーであり、今月30日に3回目の更新をすることとなった。(関東では賃貸物件に更新というものがあり、普通の賃貸物件は2年に一回家賃の倍額、テナントは3年に一回家賃の倍額を払うという変な仕組みがある)
という訳で、導かれたように、ここにたどり着いて9年目に突入した2023年。
まさかの、狛江湯がリニューアルオープンとなったわけで、何が嬉しいかって、お店の出勤前にひとっ風呂浴びてから出勤が可能になったわけだ。
まさに「捨てる神あれば拾う神あり」英語でいえばセレンディピティかな。
僕の人生、奇跡で出来上がっています。
あー、早く狛江湯に入りたいなぁ。